ベンチャー法務の部屋

日本のモバイルゲーム企業が世界で競争へ

今月22日、グリー社が、米国のモバイルゲーム会社であるOpenFeint社を$104Mで買収したというニュースが流れました。

「グリー、全世界で7,500万ユーザーが利用するOpenFeint社を完全子会社化~ 世界最大級のスマートフォン向けソーシャルプラットフォームに ~」
(グリー社 プレスリリース)

「GREE Puts Over $100 Million into OpenFeint to Drive Global Expansion with 100M users」
(OpenFeint社 プレスリリース)

「日本のGREEがモバイルソーシャルゲームプラットホームのOpenFeintを$104Mで買収」
(Tech Crunch Japan)

「Japanese company Gree acquires mobile game company OpenFeint」
(USA Today)

グリー社のIRを見ると、現金を対価とする合併が利用されているようです。

以前、「DeNA社による米国のゲーム開発会社の買収」というエントリーをお伝えしましたが、日本のモバイルゲーム企業が世界を舞台に勝負することになりそうです。

プレスリリースでは、”OpenFeint and its team will remain with long-term incentives, including CEO and founder Jason Citron, who grew the company to 75 million users and 19,000 game developers in two years. “ということで、この long-term incentives の詳細な内容は明らかではありませんが、DeNA社がngmoco社を買収したときのようなアーンアウト条項があるのかもしれません。

個人的に、今回の買収において興味がある点としては、OpenFeint社の大株主に株式会社ディー・エヌ・エー (18.3%)が入っていること、それに、OpenFeint社純資産が$3.67Mとはいえ、売上が$0.28Mしかないということです。

前者は、ライバル社に現金を渡すこととなり、ライバル社の投資が成功したことになる点も興味深いですが、買収スキームにも影響を及ぼした可能性があります。今回の買収を株式交換で行うとなると、DeNA社がグリー社の株式を保有することになってしまいますので、独占禁止法を含めた何らかの法規制等に抵触する可能性を懸念したかもしれません。

後者については、$104Mという買収金額と比較すると、売上高が小さいと言わざるを得ませんが、そこは「ユーザー数7,500万、ゲーム数5,000、デベロッパー数19,000以上を有する」会社であるので、グリー社がマネタイズ戦略を考えれば、価値があるであろうと考えておられるのではないかと思います。また、世界へ進出するためには、今は多少高くても、市場の伸びを考えると問題ないという判断であったのだろうと推測します。

執筆者
S&W国際法律事務所

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