ベンチャー法務の部屋

フェムテック①

フェムテック

今回のブログでは、「私のルーティーン紹介」をテーマとして、私が、1週間に1回テニスをしたり、1ヶ月半に1回ヒゲの医療脱毛に行ったり、毎食前に漢方茶を飲んだり、朝晩は洗顔後に化粧水→クリーム→オイルで肌ケアを行なっていることなどを紹介しようと思ったのですが、果たしてニーズがあるのかと立ち止まって考え直した結果、テーマを再選択することにしました。

FemTech(フェムテック)という言葉をご存知でしょうか。

フェムテックとは、Female(女性)とTechnology(テクノロジー)をかけあわせた造語であり、テクノロジーを用いて、女性の健康問題やライフスタイルの課題を解決するために開発された、ソフトウエア、診断キットなどの商品やサービスをいいます。

この言葉は、デンマーク出身の女性起業家であるClueのCEOであるイダ・ティン氏が、自身の開発した月経周期予測アプリへの投資を募るため、使い始めたのがきっかけとなり、2016年ごろから広がってきた言葉であると言われています。

SDGsでは、ゴールの一つとして、「5 ジェンダー平等を実現しよう」が設定され、政治や経済や社会のなかで、何かを決めるときに、女性も男性と同じように参加したり、リーダーになったりできるようにすること、世界中だれもが同じように、性に関することや子どもを産むことに関する健康と権利が守られるようにすること等が達成目標として掲げられています。

そして、その実現のためには、女性のライフステージごとの健康課題(生理、PMS、妊娠と出産、更年期等)が大きな問題となっていることが明らかとなっており、この問題の解決においてフェムテックが重要な役割を果たすこととなります。

フェムテック市場で先行する欧米では、前述のイダ・ティン氏が2013年に立ち上げたドイツの月経管理アプリのClueや、アメリカ発で従業員向けに雇用者負担で卵子凍結などの不妊治療を提供するCarrot Fertility、骨盤底筋を鍛えるトレーニングデバイスやウェアラブル搾乳機などを開発販売するイギリスのElvieなど、さまざまなプロダクトやサービスが登場しています。アメリカのリサーチファームFrost&Sullivanの調査によると、2025年にはフェムテックの市場規模は5兆円になると言われています。

国内においても、女性も男性と同じように参加する社会に進化するにつれ、働く女性たちの健康問題をプライベートなことと片付けず、組織として配慮する企業が増えてきています。これまでは、女性特有の健康問題については職場ではタブー視され、置き去りにされてきましたが、女性の力を最大限に発揮してもらうため、「フェムテック」を活用して心身状態の改善を図ろうとする企業の取り組みが始まっています。

国内におけるフェムテック関連のサービスやプロダクトとしては、生理日予測アプリや女性ヘルスケアサービスを展開するMTIの「ルナルナ」、妊活コンシェルジュサービスの「ファミワン」、ホルモンの郵送検査キット「canvas」、デリケートゾーンケア製品をEC販売する「Mellia」、不妊治療データを統計的に解析し検索できる「cocoromi」、更年期の症状のオンライン相談サービスを提供する「TRULY」などが挙げれられます。

今後も女性活躍が推進されていく中で、フェムテックはさらに注目を集める分野であると考えています。もっとも、女性活躍の推進の大前提として、女性の健康問題を、単に女性だけの問題とするのではなく、男性が女性の健康に関する正しい知識を持ち、理解を深めることが重要であると考えます。

今後もフェムテックに関する動きや具体的な事例、課題について取り上げていく予定です。

執筆者
三村 雅一
マネージング・パートナー/弁護士

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