国際法務の部屋

SDGs2022

2022.01.17

2022年1月1日のニュースで、経団連の十倉会長が、年頭に合わせて、報道各社のインタビューに応じた内容が報道されました。

NHKの記事によると、「同インタビューに対する回答の中で、十倉会長は、この中で、中国の新疆ウイグル自治区で強制労働が広く行われているなどと指摘される中、人権問題をめぐる企業の対応に厳しい視線が注がれていることについて『国際的に事業活動を行ううえで、人権は欠かせない案件になってきた。企業も社会を構成する一員なので、社会規範はしっかり守らないといけないという厳しい認識を持つべきだと思う』と述べました。そのうえで『各企業は、人権の重要性を自主的に判断して、しっかり取り組むべきだと言っている』として、企業に対し、強制労働によって生産されたものがないかなど、製品の供給網=サプライチェーンの透明化を呼びかけていく考えを示しました。」とのことです。

SDGsに関する記事を紹介する中で、全ての企業にとってSDGsは経営課題となり、迅速な対応が求められていることについては既にお伝えしてきた通りです。

また、2021年6月に公表された東京証券取引所の改訂コーポレートガバナンスコードでも、サステナビリティに関する取り組みとして「人権の尊重」が盛り込まれるなど、上場企業にとって、「人権の尊重」が重要な経営指針となることについてもすでにお伝えしてきました。

この点、十倉会長からは、「各企業は、人権の重要性を自主的に判断して、しっかり取り組むべきだと言っている」との指摘があったようですが、企業にとって、人権の重要性を自主的に判断し、取り組む、ということは決して容易ではないと感じています。

日本政府は、企業が経営を行う上で、「人権の尊重」としてどのように取り組めばよいのか、ということについて、2020年10月、日本政府は「『ビジネスと人権』に関する行動計画」を策定しています。この内容についても、過去のブログで紹介していますので、ご参照ください。

これに加え、法務省は、「今企業に求められる『ビジネスと人権』への対応」という資料を公表しています。同資料では、企業が尊重すべき主要な人権と人権に関するリスクの内容や近年の動向、人権に関する取り組みが事業活動に与える影響、企業による人権への取り組みとしてどういった取り組みを行なうべきかといったことについて分かりやすく紹介されています。

弊所では、ビジネスと人権に関する研修(新入社員・管理職研修、全従業員を対象としたEラーニング研修等)、経営層等を対象にしたビジネスと人権に関する講習会、取引基本契約書等における人権条項の整備、人権方針作成のサポート、人権デュー・ディリジェンスのアレンジなどSDGs関連サービスを幅広く提供しております。

法務省作成の資料は約80ページという厚い内容となっているため、同資料に関する解説、同資料を踏まえて、企業に求められる人権尊重への取り組みを、例えば社内規程や契約書類にどのように落とし込んでいくのかといった点に関するご相談も含め、ぜひ、お気兼ねなくお問い合わせください。

執筆者
三村 雅一
マネージング・パートナー/弁護士

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