東京オリンピックとSDGs①
東京オリンピックが閉会しました。
賛否両論ある中で開かれた大会でしたが、私は、アスリートの姿にパワーをもらいました。結果は様々ですが、出場した全てのアスリートが、後悔することなくこのオリンピックを終えたことを願わずにはいられません。8月24日から開幕する東京パラリンピックにおいても、全てのアスリートが力を発揮し、活躍されることを願っています。
さて、東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会は、その準備段階から、SDGsを指針に掲げていました。同委員会は、社会におけるスポーツの役割を改めて認識し、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会(以下「東京オリンピック」といいます。)を契機に、スポーツを通じて持続可能な社会に向けた課題解決への責務を果たす意思を明確にしてきました。このように、準備段階からSDGsを指針に掲げた夏季大会は、この東京オリンピックが初めてでした。
その一環として、東京オリンピックにおいては、大会の調達に関わるサプライチェーンへの取り組みとして、「持続可能性に配慮した調達コード」を設け、その不遵守に関する通報受付窓口を設置し、運用を継続してきました。
前者の、「持続可能性に配慮した調達コード」については、以前のブログで紹介をしました。
また、後者の「その不遵守に関する通報受付窓口」についても、「グリーバンスメカニズム」として、以前のブログで紹介しました。
東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会は、「持続可能性報告書」として、各フェーズにおける報告書を公表しています。最新の報告書は、大会が始まる直前の2021年7月8日に出された「持続可能性大会前報告書追補版」になり、ここに「持続可能性に配慮した運営計画」で定めた取り組みの進捗や実績についての最新の報告が記載されています。
同報告書においては、前述の、「持続可能性に配慮した調達コード」の不遵守に関する通報受付窓口の実施状況についても報告がされています。
同窓口は、2021年4月末時点で計13件の通報を受け付けており、その内容について、個別の対応状況に至るまで報告書が公表されています。このうち、東京2020組織委員会が発注する建設現場の労働環境に関する通報で、通報受付窓口の対象案件に該当すると判断して処理手続きを行った案件があり、対応状況について個別の報告書が公表されています。
この点、環境保全団体であるWWFジャパンは、東京オリンピック開幕直前に、「未曾有のコロナ禍の中、開催にこぎつけた東京オリンピック・パラリンピック競技大会はSDGs時代の国際スポーツ大会に欠かせない『持続可能性』の取り組みが不十分だ」などとして、同大会組織委員会に対し、組織委自体が作成した、大会で使用する木材や紙、水産物、パーム油の個別の調達基準について、その調達結果を具体的な数値で開示するよう求める声明を発表しているとのことです。
また、大会期間中にも、大会スタッフらの弁当合計13万食の廃棄が行われていたことが判明しました。
この度、企業活動だけでなく、オリンピックというスポーツイベントを行うにあたっても、SDGsが重要な指針とされることが明らかとなりました。
東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会は、大会終了後にも、最終の持続可能性報告書を提出することになっています。
SDGsオリンピックを掲げて行われた東京オリンピックにおいて、どこまで「持続可能性に配慮した運営計画」で定めた取り組みが実現できたのか、引き続き見守りたいと考えています。