国際法務の部屋

不動産投資とESG投資、SDGs

2020.11.16
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先日、不動産関係のある企業様において、弊所の河野弁護士とともに、「不動産投資とESG、SDGs」について講演しました。

先日の河野弁護士のブログでも紹介したとおり、令和2年10月16日、関係府省庁連絡会議において、企業活動における人権尊重の促進を図るため、「ビジネスと人権」に関する行動計画が発表されました。日本政府は、この計画の策定を、SDGsの実現に向けた取り組みの一つとして位置づけた上で、同計画の第3章「政府から企業への期待表明」において、

政府からは企業に対し、その規模、業種等にかかわらず、

①「人権デュー・ディリジェンスのプロセスを導入すること」

②「サプライチェーンにおけるものを含むステークホルダーとの対話を行うこと」

③「日本企業が効果的な苦情処理の仕組みを通じて、問題解決を図ること」

を期待する、と表明しています。

この①の内容については、先日の河野弁護士のブログで紹介したところであり、②③の参考になる取り組みについては、私の過去のブログにおいて紹介させて頂きました。

なお、③の苦情処理・問題解決制度については、これを強化することによって、

・企業不祥事及びレピュテーション上の損害と経済的不利益の発生・拡大の防止

・責任ある企業行動のためのデュー・ディリジェンス、CSR調達、指導原則で言及されている人権デュー・ディリジェンスの効果的な実施

・取引先・投資家を含むステークホルダーからの信頼の確保と経済的利益(ESG投資を含む)の獲得

といったメリットが認められる他方で、企業がステークホルダーからの苦情申立てや問題提起に対し十分に対応できず、その結果、企業価値が毀損する不祥事が生じた場合、取締役が善管注意義務違反を問われることにもなりかねないというリスクがあると言われています。

不動産投資とESG投資、SDGsについて、令和元年7月3日に、国土交通省「ESG不動産投資のあり方検討会」が中間とりまとめを発表しました。

同とりまとめにおいては、【ESG投資、SDGsにおける不動産の重要性】について、「我が国において、2600兆円を超えるとされる不動産は、国民生活や経済成長を支える不可欠かつ重要な基盤であり、環境や社会に関する問題解決に貢献できるポテンシャルも大きい。そのため、不動産の開発・運用・投資において、ESG投資やSDGsの考え方を踏まえることは重要である。」と述べられています。

その上で、【不動産へのESG投資の基本的な考え方】として、我が国の不動産市場・不動産投資市場が、世界的に拡がるESG投資に対応するためには、リスク・リターンの二軸のみを踏まえた投資ではなく、社会的なインパクトという第三軸目も意識した投資が実践される必要がある。そして、それにより、不動産投資が不動産取引の短期的な価値上昇期待のみに基づくものではなく、ESGの組み込みにより、資産が中長期的に生み出す価値を踏まえて行われるようになることが望ましい、との内容が記されています。

今回のセミナーでは同とりまとめの内容を紹介した上で、同業他社の具体的取り組みを参考にしながら、SDGsの17のゴールについて自社で取り組むことのできる内容についてグループに分かれでディスカッションをして頂きました。

皆様に基本的な知識を知って頂くにとどまらず、自社で具体的にどのような取り組みができるのかについて考えて頂くことで、より自分の問題として考えて頂く機会を持って頂けたと考えております。

当S&W国際法律事務所では、SDGsの基本的な知識から、それぞれの業種に合わせた具体的な取り組み、自社における取組の検討などについて社内セミナーも担当させて頂いておりますので、気軽にお問い合わせ下さい。

執筆者
三村 雅一
マネージング・パートナー/弁護士

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