中国における商標権侵害判断基準の公布
中国の知的財産権局は、2020年6月15日、商標権侵害判断基準(以下「本基準」といいます。)を制定・公布しました(以下のサイトで、原文が公開されていますので、ご参考までに引用します。http://www.cnipa.gov.cn/gztz/1149656.htm)。
これまでは、商標権侵害については、商標法及び商標法実施条例等を参照しつつ、判断していました。しかしながら、判断基準が必ずしも明確ではなかったことから、結論を導くことが困難なケースも多くありました。
本基準は、第1条から第38条までで構成され、商標権利侵害の判断における重要基準を、リストアップする形式で規定されています。
その内容についても、商標法及び商標法実施条例等と比較して、具体性・明確性が増していますので、実務上の重要な指針となると思われます。
例えば、本基準第3条では、「商標権の使用」について、「商標を、商品、商品の包装、容器、サービス提供場所または取引書類に用い、もしくは、商標を広告宣伝、展示又はその他の商業活動において用い、もって、商品またはサービスの出所の識別に用いる行為」であると定義しています。
この内容については、これまでも、商標法第48条で、ほぼ同内容の規定が存在しましたが、本基準では、この定義をさらに細分化して定義しています。例えば、第4条で「商標を、商品、商品の包装、容器、サービス提供場所または取引書類に用いる」という規定について、商品の説明書や販売契約書等に用いること等を含むことが明記されています。さらに、第5条では、「サービス提供場所または取引書類に用い」るという規定について、従業員の衣服やメニュー表等に用いること等を含むことが明記されています。」。
このように、本基準では、これまでよりも、具体的かつ明確な基準が多く規定されていますので、今後、取引実務において、参考にする価値が大いにあると考えます。
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