SDGsと企業活動②
1 前回のブログ(SDGsと企業活動①)で、SDGsとは、持続可能な世界を実現するための17の目標(Goals)であり、2030年に向けて、全世界が持続可能な発展を遂げるために達成すべき共通の国際目標であることを紹介しました。
そして、企業にとっては、利益のみを重視するのではなく、ESG、持続可能性を理解し経営に入れ込まなければ、それが企業経営にとって大きなリスクとなる、そういった時代の中で、SDGsは、企業経営にとって指針になりうる国際的な共通言語として重要な意味を持つことを紹介しました。
2 既に、現代社会においては、規模の大小を問わず、成長を目指す企業はSDGsを無視した経営を行うことはできなくなっているといっても過言ではありません。現代社会におけるSDGsのプレゼンスについてさらに紹介したいと思います。
①ESG投資の加速
企業経営において、ESG=環境(Environment)、社会(Social)、企業統治(Governance)への配慮が求められるようになったことは前回のブログでも紹介しましたが、投資の世界においても、環境・社会・企業統治に配慮している企業を重視・選別して行なう投資であるESG投資が加速しています。
この動きは日本でも同様であり、2017年には、日本の国民年金約160兆円を運用する世界最大の機関投資家GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)が、その運用資金の一部でESG投資を始めました。
世界持続的投資連合(GSIA)によると、世界のESG投資の2018年の投資額は3317兆円(約31兆ドル)に達し、2016年比で34%増加しています。また、日本のESG投資額について見ると、2018年の日本のESG投資額は2兆ドルと、2016年の4.6倍に膨らんでいます。このような動きに照らすと、日本のESG投資は今後さらに加速することが予測されます。
そして、前記GPIFは、投資家によるESG投資と投資先企業のSDGsへの取り組みは表裏の関係にあるという認識を明らかにしており、ESGとSDGsを関連付けて説明しています。
したがって、仮に企業がSDGsへの対応を誤れば、株主・従業員・顧客・地域社会等の各ステークホルダーからの信頼が損なわれ、社会的信頼を失い、企業価値は損なわれ、ESG投資を受ける機会も喪失することにもなり得るという大きなリスクを負うことになります。
②サプライチェーンにおけるSDGs
外務省のHPには、様々な企業のSDGsへの取組事例が紹介されています。
各社の取り組みを見る中で、各企業が、SDGsを達成するためには、自社のみならず、上流、下流においても、SDGsを達成するための動きを取る必要があることを認識していることが分かります。
繰り返し述べる通り、SDGsとは、「全世界が持続可能な発展を遂げるため」に達成すべき共通目標である以上、サプライチェーンにおける1社がSDGs達成のための取り組みをしたことによって、下流にしわ寄せがいく、そういったことがあってはならないのです。自社と取引関係にある全ての企業にSDGsを要求する、そういった時代がやってくるでしょう。
③政府による「SDGs未来都市」の選定
政府により、自治体によるSDGsの達成に向けた優れた取組を提案する都市が「SDGs未来都市」として選定されました。
このように、我々市民が生活を送る自治体においても、SDGsの達成に向けた「持続可能なまちづくり」が行われていることが分かります。
④東京五輪・パラリンピック、大阪万博とSDGs
東京オリンピック・パラリンピックの調達・運営のルールでもSDGsが基準として明確に打ち出されており、政府も東京オリンピックのことを、「SDGs五輪」とうたっています。
また、大阪招致が決まった2025年万博は、ホームページにおいて、「大阪・関西万博は、2015年9月に国連本部で開催された「国連持続可能な開発サミット」において、 持続可能な開発目標として17の目標を掲げたSDGsが達成された社会をめざす為に開催いたします。」と明言し、SDGsの実現を開催目的として明言しています。
このように、現代社会におけるSDGsのプレゼンスは非常に高まっており、規模の大小を問わず、成長を目指す企業はSDGsを無視した経営を行うことはできなくなっていることがお分かり頂けたのではないでしょうか。
次回は、企業等におけるSDGs関連リスク、ESG関連リスクへの対応の在り方について説明をしたいと思います。