国際法務の部屋

中国:外商投資法の制定

2019.06.24

前回のブログでは、技術輸出入管理条例の改正について、ご紹介しましたが、今回は、外商投資法の制定について、ご紹介します。

 

外商投資法の正式名称は、「中華人民共和国外商投資法」といい、2019年3月15日に公布されました。施行日は2020年1月1日です。

外商投資法は、「総則」、「投資促進」、「投資保護」、「投資管理」、「法的責任」及び「附則」の6つの章から構成されています。

同法1条では、同法制定の趣旨について、「さらなる対外開放の拡大、積極的な外商投資の促進、外商投資の合法的な権益の保護、外商投資管理の規範化、全面的開放の新たな枠組み形成の促進、社会主義市場経済の健全な発展を促すため」と規定しています。

 

同法では、上記のとおり、投資の促進、保護及び管理等について、様々な規定がされています。

その中には、規定の内容が抽象的であったり、または、具体的な手続規定が設けられていないといった理由から、司法解釈等に基づく実務の運用を観察したうえでなければ具体的な対応が困難である内容も多く含まれています。

本ブログでは、投資の管理に関し、実務にも大きな影響を及ぼし得る点について、ご紹介します。

 

これまで、外国資本が、中国に会社を設立する場合には、その資本構成によって、「中外合弁企業法」、「外資独資企業法」及び「中外合作経営企業法」等によって、当該会社の機関設計や、意思決定プロセス等が定められていました。それが、本法42条で、これら3つの法律を廃止するとしています。

したがって、本法が施行された後は、外資企業についても、従来とは異なり、会社の機関設計や意思決定プロセスに関する会社法が適用されることになります。例えば、中外合弁企業法では出資者そのものではない董事によって構成される董事会が会社の重要事項の意思決定機関とされていましたが、会社法では、出資者たる株主が構成する株主会がこれらについては株主会が意思決定機関とされています(なお、組織形態については、42条により、5年間の猶予期間が設けられています。)。

 

具体的な内容については、現在、未だ公開されておらず、国務院が決定する実施規則によるものとされていますので、外資企業としては、その内容を確認したうえで、具体的な対応を検討することになるでしょう。現時点においては、猶予期間中に、合弁パートナー等との間で協議を行い、今後の組織構成等について、適宜のタイミングで変更の申請等を行うことが想定されます。

(文責:藤井宣行)

執筆者
S&W国際法律事務所

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