海外拠点の設立・海外拠点設立後のリスクマネジメントについて
ジェトロが作成した2018 年度日本企業の海外事業展開に関するアンケート調査報告書によると、アンケートに回答した3385社(そのうち中小企業が2770社)のうち、海外に拠点を有する企業は45.1%の1528社であったとのことです。さらに、海外拠点の所在別でいくと、中国が58.3%と圧倒的に多く、続いてタイ(38.1%)、米国(32.1%)、ベトナム(27.2%)、台湾(22.1%)、シンガポール(19.7%)、インドネシア(19.0%)、香港(18.5%)と続きます。また、同報告書によると、海外拠点の機能としては、販売拠点が66.6%最も多く、次いで生産拠点が50.6%とのことです。
グローバルな販売拠点や製造拠点の確保のために、アジアや米国を中心に、今後も、海外拠点設立の動きは加速していくのではないかと考えられます。
海外拠点を設立するにあたっては、出資比率の制限の有無(100%独資が許されるか)、資本金の最低額の規制の有無、当該国で行う予定の事業についてビジネスライセンス取得の可否、代表者の常駐義務の有無、海外拠点の定款や社内規定(就業規則等)の整備、海外拠点が賃借するオフィスの賃貸借契約書のリスク確認、採用する従業員の労働契約書の作成、など様々な事項の検討や準備が必要となります。
また、パートナー企業との合弁により海外拠点を設立する場合は、合弁契約書の内容(重要決議事項の定め方、出資者間で経営方針に齟齬が生じた場合のデッドロック条項等、代表者や取締役の選任・解任に関する条項等)が重要となります。
海外拠点設立後のリスクとしては、知的財産権に関するリスク(合弁企業から技術情報の流出、模造品の横行、製造委託先による商標の冒認出願など)、労務リスク(ストライキ、労働契約や就業規則の不備、現地従業員による横領などの不正行為)、契約関係のトラブルリスク、製造物責任を追及されるリスク、独占禁止法違反に問われるリスク、贈収賄リスクなどの様々なリスクが想定されます。
これらのリスクについては、契約書の整備や、社内規定・社内体制の整備、海外拠点の従業員に対するコンプライアンス教育等により大部分を予防することができます。
当事務所には、中国法務の実務経験が豊富な弁護士や、中国人律師が在籍しておりますし、中国の深圳に海外拠点としてコンサルティング会社も設立しております。
また、ASEAN諸国、香港、米国についても、提携事務所や協力事務所と緊密に連携することで、ハイクオリティなサポートをさせていただくことが可能です。
このように、当事務所では、上記のジェトロアンケートの海外拠点所在別ランキングで上位にくるすべての国について、現地弁護士や専門家と緊密に連携しながら、海外拠点を設立するサポートや、海外拠点設立後のリスク予防のためのサポートをさせていただくことが可能ですのでお気軽にご相談ください。
また、当事務所では、クライアントの皆様に対して、中国企業と契約を締結するに際し、「誰に何を依頼していいか分からない」「中国との契約に特有のリスクがあると思うが、その内容や対応が分からない」といった状況に対応するため、2019年3月から、中国語(中文)契約書サービスを開始いたしました。こちらのご利用もぜひご検討ください。