国際法務の部屋

中国企業との契約書の言語(中国語選択の是非)について


当事務所では、クライアントの皆様に対して、中国企業と契約を締結するに際し、「誰に何を依頼していいか分からない」「中国との契約に特有のリスクがあると思うが、その内容や対応が分からない」といった状況に対応するため、今月(2019年3月)6日から、 中国語(中文)契約書サービスの提供を開始いたしました。

そこで、本ブログでは、中国企業との契約書における典型的な条項について、複数回に分けて、ご紹介します。

まず、契約書の言語(何語で契約書を作成するか)ですが、契約書の中には、契約書を何語で作成し、また、何語を基準として解釈等を行うのか、という条項を規定することが多いです。
こういった条項のことを言語条項といいます。

実務上は、言語条項を規定せずに、日本語と中国語を併記している契約書を目にすることもあります。

日本語のみで作成された契約書であっても、その文言の意味について、本来的には望ましくないことですが、複数の意味に解釈されてしまうことがあります。言語が複数になれば、そのような状況が発生する可能性が、増大することになります。

このような事態を避けるために、言語条項を規定することになります。

日本企業が中国企業との間で契約書を締結する際に、使用する言語の選択肢としては、日本語、中国語または英語になるでしょう。なお、多くはありませんが、法令によって契約言語が指定されていることがあります。例えば、合弁契約書は中国語での作成が要求されています(中外合資経営企業法実施条例7条2項)。

契約言語を選択する際の考慮要素としては、

  • 実務上の運用の容易さ(担当者等が当該言語を十分に理解できるか。)
  • 所管部門等への届出等の必要の有無(ライセンス契約であれば、所管部門に中国語の契約書を提出する必要がありますし、中国から日本に送金する場合には金額によっては中国語の契約書が必要になります。)
  • 紛争が発生した場合に使用できるか(日本の裁判所であれば、外国語の文書については、日本語に翻訳したものを提出する必要があり、中国の裁判所であれば、資料が外国語である場合は中国語翻訳文を提出する必要があります。)

といった点等が考えられます。

基本的には、中国でビジネスを行うのであれば、中国語で契約書を作成することになるケースが多いように思います。そのうえで、正確な日本語訳を作成しておいたり、日本語版と中国語版の両方を作成して、中国語版を基準とするといった対応が考えられます。

日系企業としては、中国語を理解できるスタッフが充実しているなど、よほど現地化が進んでいない場合には、まずは、日本語で内容を検討して契約書を完成させ、それを正確に、ニュアンスが異ならないように中国語版に翻訳するといった作業過程を経ることになるかと思います。

弊所では、当該作業のすべての過程のサポートが可能ですので、サポートがご入用の場合には、是非ともご利用ください。

執筆者
藤井 宣行
マネージング・パートナー/弁護士

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