腐敗防止指数ランキングについて
2019.02.08
先日、大阪商工会議所主催のセミナーにて「海外取引におけるコンプライアンス、海外贈賄防止に関する規律と実例」をテーマにお話をさせていただきました。
その中で、海外における贈賄防止の手法としてリスク・ベース・アプローチをご紹介しました。リスク・ベース・アプローチとは、企業活動を行う際のリスクを評価・検証したうえで、高リスクの事象から優先的にリスク管理のための経営資源を投入していくというアプローチ手法です。
そして、贈収賄防止におけるリスク・ベース・アプローチとしては、①贈賄が起こりやすい行為類型(入札、許認可の取得や、現地エージェントやコンサルタントの起用)について重点的に贈賄防止のためのリスク管理体制を構築する、②贈賄が起こりやすい国における取引や海外拠点について優先的に贈賄防止体制を構築するなどのアプローチが考えられます。
このうち、②のアプローチをとり、国別で贈賄リスクを評価・検証するにあたっては、トランスペアレンシー・インターナショナルが毎年発表している、「腐敗防止指数」が有益です。
2018年版の腐敗防止指数ランキングでは、デンマークが1位、シンガポールは3位、日本は18位、米国が23位、マレーシアは61位、中国は87位、インドネシアは89位、フィリピンとタイが同率で99位、ベトナムは117位、ミャンマーは132位、カンボジアは161位となっています。
このランキングからすると、シンガポールを除くASEAN各国や中国については、なお贈賄リスクが高い国として認識すべきであり、しっかりとした贈収賄防止の体制(内部通報体制や、外部通報窓口の設置等)を構築する必要があると考えます。
(文責:河野雄介)